車の免許証は18歳の時に世田谷の自動車学校でとった。
仕事をしながら教習所へ通っていたので免許証を手にするまで半年もかかってしまった。
ワタシは営業だったので車は毎日乗った、初心者の頃は首都高速の出口を降りれなく環状線を一周して取引先との待ち合わせの時間に遅れ、
上司に叱られた事もあった。

初めて買った車は日産の赤いフェアレディーZだった、流線型の形と名前に惹かれた、
最後のいい女…名前の意味をワタシは勝手に解釈していた。
しかし山道のコーナーでスピードを出しすぎブレーキを踏んでしまった、グリップを失った愛車はそのまま立ち木に正面からぶつかり、そのまま廃車になってしまった。

そして2台目の車をかった
もちろん赤いフェアレディーにした…
だって、「 最後のいい女 」だから。


#L 2


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渋谷のランプから首都高速池袋5号線に入ると車の数は多いものスムーズに流れる、渋谷で化粧けのない菊美ちゃんをピックアップしたのは朝7時だった、その時間はもう東名から入ってくるトラックで首都高3号線は渋滞していた、環状線外回りの霞ヶ関トンネルは新宿4号線から合流する車で止まっては走りを繰り返した。

浦和の料金所のETCレーンを駆け抜けると隣でビューラーを使っていた菊美ちゃんが息をのんだ

「 あーもう、ぶつかるかと思った。まつ毛抜けちゃったじゃない 」

そのリアクションが見たくてわざとスピードを緩めなかった。

「 目が覚めたでしょ 」

「 もうバカちん優姫!朝から心臓に悪いわ、でもちゃんとよけるものね、あの棒 」

「 そう、朝から元気いいでしょ若いのよきっと 」

「 なんの話なの 」

そう言うとミニスカートからすらりと伸びた脚を組み替える

「 ワタシ達初めてだよね旅行なんて行くの、ウキウキしてこない?」

「 いつも遊びに行くって夜だからね、新鮮かも 」

東北道を法定速度で走る、途中、佐野のパーキングで朝食と休憩を摂った、下りのパーキングは平日だけに空いている、今夜泊まる宿は奥日光の湯元温泉にした、実は高校の修学旅行も日光だった菊美ちゃんも同じようなもので一度行ったきりだと言った。

時間を持て余しそうなので日光宇都宮道路の大沢インターで降り例弊使街道の杉並木を見ることにする。
道の両側は杉の木で鬱蒼としている昼間でも薄暗い、ここまで来ると観光気分もアップする、菊美ちゃんとくだらない話をしながらのドライブが楽しい、彼女とはお店に入った時から何故だか仲がいい。
お互いに言いたい事を言い合って今日まで過ごしてきた、性格は彼女の方が凸でワタシが凹だ、しかしベットの中では立場は逆転する普段の彼女からは想像できないMになる、お互いの身体もホクロの位置まで覚えている、気も合うし身体も合った。

日光東照宮に着いたのは11時だった外観だけを見て写真を撮り中に入るのは止めた、いろは坂を登り華厳の滝で昼食にした。
滝見台から見る華厳の滝は落差もあり水が滝壺に落ちる音と相まって壮大な感じをうけた。
中禅寺湖畔を走り次は竜頭の滝へ行った、初めて行く滝だったけど竜の体のようにくねくねと滝が流れ滝沿いの歩道を歩きながら滝を見る、人を寄せ付けない壮大な華厳の滝より間近で滝が見られる為にワタシはこっちのほうが気に入った。

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遊歩道のいちばん上まで行くとまた戻り、滝見茶屋でお団子と熱いお茶をいただく。

「 寒いからお茶が美味しいね 」

「 スカートで来たの失敗したよね 」

「 菊美、パンツ持ってたっけ?」

「 ジャージくらいしか持ってないよ、優姫もじゃん 」

「 うん、パンツは持ってないな、スカート絶対主義だからね 」

「 でも寒さには勝てないよ、早く温泉入りたい 」

「 そうだね、貸切露天風呂楽しみ 」

「 えっ、そうなの?」

「 えへへ、実はそうなんだ驚かそうと思って内緒にしてたの 」

「 行こう行こう、早く 」

湯元温泉のホテルに着いたのは3時を少しまわったとこだった、部屋に案内されバックを置くと中禅寺湖が目の前に広がる、このホテルは全室レイクビューになっている。

「 優姫、メイク落とす?」

「 落として入りたい、サッパリしたいから 」

「 でもご飯の時、どうする?」

「 すっぴんなのもねぇ、簡単にしようよ 」

滅多に見ないお互いの素顔を見て笑い合う。

「 あんたって顔、幼いよね、メイク落とすとまだ高校生て言ってもわかんないよね 」

実はSRSが終わり社会復帰するまでの間に整形をした、簡単に言うと顔の骨を削って全体的に丸く女らしい顔にした、骨格まではホルモン治療では女にならないから、それだけで印象が随分変わり
男の子であった時の面影を消し去った。

菊美ちゃんはメイクを落としても落差がない、よくありがちなメイクを落とすとアレレとなる、それがない。
エキゾチックで顔のパーツひとつひとつがシャープなのでメイクを落としてもボケない、メイクをするとそれが余計に際立ち近寄りがたい印象を与え結果的に普通の男性が寄ってこない、寄ってくるのはキャバクラのスカウトだけだといつも彼女はボヤいている。

早速、貸切露天風呂へ入ることにした、今回の旅行でワタシの最大の目的が温泉だった。
MtFトランスを初めて温泉やスパに入れなくなった、性別迷い子のワタシは女湯にも男湯にも入れない、今回は堂々と女性として入れる。

服を全て脱ぐとホテルの浴衣に着替える

「 菊美、ブラはしていくの?」

「 そんなのどっちでもいいよ、私はしていくけど 」

ワタシもそれにならった、こんな事さえもわからない、お風呂の脱衣所で下着を取る時に少しためらったが意をけして脱いだ。

先に脱いで待ってた菊美ちゃんがそんなワタシの様子をずっと見ていた。

「 そんなに見ないでよ恥ずかしいから 」

「 本当に取っちゃたんだね、ある意味ショック 」

ワタシ達は並ぶように湯船につかる、白いにごり湯が疲れた身体に適度に絡み、気持ちいい。
菊美ちゃんの柔らかな手がワタシの手を探し握ってきた。

「 もうちょっとこっちにおいでよ 」

「 うん 」

ワタシは菊美ちゃんに身を寄せた…


続く


次回は久しぶりにエロいです。アハ

お楽しみに

優姫




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